手術の方法

従来の方法(肉眼手術)

腰の筋肉を両側に剥離して後の椎骨を切除して脊髄の圧迫を除去します。(両側開窓術)傷口が大きいので合併症が多くなり、入院期間が長くなります。

当院の方法(顕微鏡手術=マイクロ手術)― Caspar法



脳神経外科の手術は全て手術用顕微鏡を使って行いますが、顕微鏡手術は脳神経外科医の最も得意とするところです。顕微鏡手術は次のような点が有利で、体に優しい安全な手術と言えます。

●手術創が小さい(従来の2分の1程度で済む)
●安全性が高い(脊髄・神経・血管を傷つけない、手術の合併症が極めて少ない)
●早期に回復出来る(手術の翌日からトイレに歩行、7~10日前後で退院可能)

現在当院で行っている一側アプローチ両側除圧による腰部脊柱管拡大形成術は、当院々長 原田範夫が1998年に日本脊髄外科学会誌〔脊髄外科〕に発表した方法で、他の病院でも次第に使用されるようになっております。この方法は顕微鏡を用いて、小さな創口から一側の椎弓の窓口を通って脊柱管の中心部に入り、反対側の神経根除圧まで可能にする斬新な手術法でless invasive surgeryの代表的手術法と言えます。現在、当院ではこの方法を更に改良してより精密・安全な方法に育てております。

その他の手術方法

内視鏡手術

傷口が小さいのが利点ですが、適応が限られており、まだ開発途上で一般的ではありません。
当院では行っておりません。

脳神経外科か整形外科か?

 脊椎・脊髄の手術は、日本では整形外科が行って来ました。それは明治時代に脊髄の手術が外国から日本に導入された時にさかのぼりますが、背骨の手術という考えで整形外科医の手に渡されたことからです。
 当時の日本の脳神経外科医は脳の手術を習得するのに必死になっていて、脊髄には手が届かなかったのです。ところが欧米では脊椎・脊髄は初めから脳神経外科医(neurosurgeon)が行っており、手術方法はドイツからアメリカに渡り、そこで大きく成長しました。
 現在アメリカでは脳神経外科手術の60~80%が脊椎・脊髄の手術になっているのが実情です。
 最近になって日本の脳神経外科医も脊椎・脊髄手術の重要性に気付いてそちらに手術の範囲を広げて来ていますが、まだまだPRが不足です。そのため日本では脳神経外科で脊椎・脊髄の手術を行っていることを知らないでいる患者さんが多く、医師ですらもそのことを知らない先生が居られます。
 脳神経外科医と整形外科医とどちらが良いかというのは一概には申し上げられませんが、どちらも豊富な経験(症例数)と実績のあるdoctorを選べば間違いありません。